亡くなる前から相続放棄はできるのか
1 相続放棄は相続の開始を知ってからしか行えない
結論としては、被相続人となる方がご存命のうちに相続放棄をすることはできません。
相続放棄は、相続の開始を知った日から3か月以内に行うこととされています。
相続は、被相続人となる方が死亡することで開始されます。
そのため、相続放棄は、被相続人となる方が死亡し、相続が開始されることが要件となります。
相続放棄が被相続人となる方が死亡してからでないと行えないとされている趣旨は、生前に被相続人となる方に相続放棄を強要されることを防ぐことにあるといわれています。
もっとも、実際には、被相続人となる方にめぼしい財産がなく、(多額の)負債のみが存在することが、ご存命のうちに判明しているという場合もあります。
このような場合、被相続人となる方がご存命のうちに相続放棄をしてしまいたいところですが、相続放棄をすることはできません。
2 生前対策
被相続人となる方がご存命のうちは相続放棄をすることはできませんが、予め相続放棄を円滑に進めるための準備を進めることはできます。
相続放棄を行うとなった際、被相続人の財産が問題となることがあります。
特に問題となるのは、不動産、自動車、賃借している自宅です。
予め、これらを生前に処分しておくことが望ましいです。
不動産については、土地はそこまで問題となりませんが、建物はとても厄介です。
相続放棄をすると、建物の取り壊しはできません。
建物は時間の経過とともに、老朽化が進みます。
相続放棄をしても、元相続人は相続財産の管理責任を負うとされているため、建物の老朽化により倒壊等の危険性が生じると、何らかの責任を追及される可能性もあります。
そのため、相続財産管理人選任申立をするまでの間は、補修等を続けなければならなくなります。
こうした事態を避けるためには、生前に取り壊してしまうのも手です。
自動車についても同様です。
自動車も相続放棄をすると、処分することができなくなります。
それにもかかわらず、賃借している駐車場に停めていたりすると、賃貸人から激しく撤去を求められることがあります。
そのため、生前に廃車処分または名義変更をした方が良いです。
被相続人となる方が賃貸物件にお住いの場合、残置物となり得る物はできる限り処分しておきます。
もし入院等をされていて、戻る可能性が薄いようでしたら、賃貸借契約をあらかじめ解約しておくとよいでしょう。
お役立ち情報
(目次)
- 相続放棄をした場合の固定資産税の支払い
- 相続放棄と光熱費
- 相続放棄で代襲相続は発生するか
- 相続放棄はいつまで行えるか
- 相続放棄と亡くなった方の家の片づけ
- 相続放棄をした場合、他の相続人への通知は必要か
- 相続放棄申述書の書き方
- 相続放棄における相続の順位
- 相続放棄と裁判所からの呼び出しの有無
- 相続放棄が認められないケース
- 相続放棄をしたかどうかについて確認する方法
- 相続放棄をすべき人
- 相続放棄の期限の始期
- 相続放棄の期限が迫っている場合について
- 相続人が複数いる場合の相続放棄の注意点
- 相続放棄と債権者対応
- 相続放棄とお葬式費用
- 相続放棄の期限の延長
- 相続放棄と生命保険
- 相続放棄の申述に必要となる書類
- 相続放棄の期限
- 相続放棄の理由
- 相続放棄を弁護士に依頼すべきパターン
- 相続放棄をしても遺族は年金を受け取ることができるか
- 相続放棄ができないケース
- 亡くなる前から相続放棄はできるのか
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