相続放棄の期限

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2024年10月04日

1 相続放棄の期限は3か月です

 亡くなった方が借金を残した場合や、借金は無くても、山林や農地など、不要な財産が多いような場合は、相続放棄をすることをおすすめします。
 しかし、相続放棄の期限は、3か月しかないため、相続が発生した後は早急に対応する必要があります。
 ただし、この「3か月以内」という言葉の意味を正確に理解している方は少ないかもしれません。
 そこで、相続放棄の期限である「3か月」の意味について、詳しくご説明いたします。

2 3か月の正確な意味

 法律上、相続放棄の期限は、「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」から3か月以内と定められています。
 まず、「相続の開始」とは、ご家族が亡くなったことを指します。
 たとえば、病院で、妻が夫を看取った場合、亡くなったその時に、ご家族が亡くなったことを認識したため、「相続の開始」を知ったと言えます。
 次にポイントになるのは「自己のために」という言葉です。
 「自己のために」とは、「自分が相続人になったこと」を指します。
 たとえば、先程の例で、亡くなった夫を看取ったのが、妻、子、夫の両親だった場合を想定しましょう。
 妻と子は、第1順位の相続人のため、夫が亡くなれば、「自分が相続人になったこと」を知ることができます。
 しかし、夫の両親は、第2順位の相続人のため、妻と子が相続放棄をしない限り、相続人になることはありません。
 つまり、夫の両親にとって、「自分が相続人になったことを知った時」とは、妻と子が相続放棄したことを知った時、ということになります。

3 3か月が経過した場合の相続放棄

 期限が過ぎてしまった場合、一切相続放棄ができないのかというと、そういうわけではありません。
 3か月以内に相続放棄をしなかったことがやむを得ないと言える場合には、例外的に相続放棄ができる可能性があります。
 もっとも、どのような場合にやむを得ないと言えるかどうかは、事案によって異なります。

3か月の期限が過ぎてしまった場合に相続放棄できるかどうかは、弁護士に相談することをおすすめします。

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